少し涼しさが戻ってきたお盆明けの夜に、神戸北野にあるライブ演奏が聴ける老舗ジャズライブレストランの「ソネ」に出向きました。

北野のソネ
釣りならば、炎天下の夏の日でも太陽が何のそのと平気でいられるものの、街の暑さは嫌なもので、この夏は、とんとご無沙汰でした。
このところの涼しさにうれしく、久しぶりにジャズのライブが聴きたくなり、夜の北野へ三宮から坂を上って行きました。
まだ時間も早いので店の中も閑散としていましたが、最初のステージが始まる6:50が近づくころになると、ステージに近いテーブルからお客様が増えていき、1曲目のYou’d be so nice to come home toが演奏される頃には、相応のお客様の数になってきました。
このソネは、最初に教えて頂いたのは、多分20代の頃だと思いますので、ずいぶんと長いものです。まだまだ当時は、ジャズライブだけでなくジャズ喫茶が街にはたくさんあり、何とも言えない独特の雰囲気の良いお店がありました。三宮界隈でもジャズ喫茶もジャズライブも多くあり、ジャズが結構聞けたものでした。
市役所の前を神戸税関の方へ歩いていくと、デキシーランドジャズのライブ店があって、賑やかで陽気なデキシーが流れていました。
そんなお店も1件なくなり、もう1件と店じまいをして、少なくなって懐かしさだけが残りました。
「ソネ」だけは今も隆盛を続けていられ、未だに通っている唯一の店で、ここへ行けば素敵なジャズライブが聴けるという、貴重なお店です。1人で行くのならば、まず予約の必要もなく、どこかに座れるものです。
私も、over60になり、ここの店に訪れるお客たちの平均年齢を上回りましたでしょう。平均年齢は50歳以上と思います。若い方もいらっしゃいますが、それなりの年齢の方々が多いでしょうから、そう感じるのかもしれません。
私の席のひとつ前側、ステージ直近が予約席になっていて、そのうちに、ボーイさんに手を取られ、杖を突かれた、ご高齢のご婦人がおひとりで来られました。この店でこのような風景は、ごく普通で、息子さんや娘さんが親御さんのお供をしてお越しになっているのも、良くお見受けします。そう言えば、私も母を生前に何回か連れてきた覚えがあります。
着飾って出かけるのではなく、構えることなく、ごく普通に夜の北野で、ジャズライブを聞いて、ご飯を食べましょうと、いうような感じのお店は少ないというか希少価値のあるお店です。
6:50が最初のステージで、都合4回か3回のステージがあって、入れ替えなしで最後まで聞いても11時ですから、じゅうぶん電車に間に合うので、「しまった!」がありません。
ステージとステージの合間は、ひとりで物思いにふけるのも良く、考え事をしたりと、家とは違う物思いの場所です。このお店の良さは、良い意味でのほったらかしを感じます。食べたいものなどは、即座に注文に応えてくれますので、お客をいつも見ていて、その対応をしてくれます。でも、それ以外は何にも干渉されない雰囲気が、とてもありがたいものです。好きなジャズを聴いて、美味しいものを食べて、大勢の人の中にいながらプライバシーの空間を保っている環境は、何物にも代えがたいものです。結構、いろいろなことを考える場所になっていました。だんだん年とともに、そんな難しい考え事はなくなりつつあり、潮時表を見ながら次の釣りのスケジュールや仕掛けを考えたり、このようなサイトの内容を模索したりの時間でした。仲間と行くのも楽しいですが、ひとりの時間として過ごせる貴重な場所と思っています。
ライブの迫力は素晴らしく、ピアノもベースもドラムもそして管楽器も素敵な音を奏でて、今晩は堪能の2ステージを聴いて、美味しいものを食べて、9時過ぎに家路に着きました。
長い年月が過ぎた感がありますが、いくつまでこのお店に通えますか。夜の道を歩いて帰れる力を温存しておかなくてはいけませんね。
演奏中の写真は掲載していません。