あなご丼

あなご丼
このところアナゴ釣りならず、アナゴを捕まえて来る機会が増えました。300gを超える大きいアナゴ(約60㎝)のことを「伝助あなご」と播磨地方では言いますが、もうすでに2匹にお会いしました。これは、肉厚もあって、脂がのっていてとてもおいしく食べました。伝助あなごは、そう簡単に市販されてはいないでしょうから、貴重なものを食べたことになります。
鰻もそうですが、穴子も素人料理と料理人の差は歴然です。それでも、素材が良ければうまいのですが、改めて料理されたアナゴが食べてみたく、贅沢にアナゴ丼を食べに行ってきました。
なるほど、きれいにさばかれたアナゴをきれいに焼いてあり、売り物はきれいなものです。
背開きでさばかれています。
アナゴそのものの素材は、地物の播磨灘産の私のがうまいような気がしますが、さすがに料理人のたれは、ご飯に合いおいしいです。
鰻は、関西は腹から開き、関東は背から開くと言われています。関東は、江戸時代に確立されたのでしょうが、侍文化から切腹を嫌って、そうなったと言われていますが、このアナゴも切腹を嫌ったようです。もともとは、丸のままぶつ切りにして、それを串に刺して焼いたそうで、江戸時代も最初のうちは決して上品な食べ物ではなく、ぶつ切りを串に刺して焼いたものに醤油だれや山椒味噌などを付けて食べたそうです。おいしいものというより、精がつく食べ物というものだそうでしたのが、料理方法も江戸時代に大きく進化して、開いて焼く、ウナギ料理へと変化したそうで、その当時から安い食べ物ではなくなり、高級な食べ物に変わって現代に至ったようです。当時は、天然ものだけでしたでしょうからおいしかったのでしょうね。
アナゴの場合は、江戸前も関西も一緒でしょうか。鰻に関しては、前述のようなお話を聞きますが、アナゴに関してはどうもわかりません。しかし、同じような経緯を取っているのは、間違いないでしょう。見た目は、そう大きく違わないですから、アナゴもだんだんと高級なものになっていったのでしょう。寿司ネタとしては、アナゴの方が上等ですよ。
いずれにしても、長物と呼ばれる、鰻も穴子も鱧も高価な魚ですが、夏になると食べたくなる連中です。
さばき方は、プロの足元にも寄ることができないでしょうが、何とかさばいたとして、アナゴのたれをひと工夫してみます。
アナゴ丼のたれ
酒 50cc 醤油 大匙 2 みりん 大匙 2 砂糖 大匙1
として、下ごしらえで切り取った頭を一緒に焼いて、このたれを最後に加熱するときにたれに頭を入れて、ひと煮立ちさせることで、たれの味が変化します。アナゴの脂分が、たれに絡みます。
あと、もうひとつうまいのは、切り取った骨ですね。これをフライパンにオリーブオイルを入れて、カリカリに焼くとうまいです。
何と言っても素人料理は致し方ありません。しかしながら、素材だけは、自慢できるくらいのとびきり上等なので、手の込んだことをしないで、焼いて、切って、タレを絡めて、炊きたてご飯でおいしく食べれば、文句なしです。
これからは、夏の夜釣りも楽しみなアナゴですから、おいしく食べましょう。